ドローンの基礎知識
許可制が開始された経緯
2015年4月 首相官邸の屋上にドローンが落ちているのを官邸職員が発見
2015年9月 世界遺産・国宝の姫路城で、大天守6階南面にドローンが衝突
等々、ドローンに関連する事故の多発
規制に違反して飛行させた場合の罰則
50万円以下の罰金
許可が必要となる無人航空機
ドローン(マルチコプター)、ラジコン機、農薬散布用ヘリコプター等
※200g未満の重量のものを除く
ドローンが関係する各種法令
ドローンに関する基本的なルールを定めた法令
- 航空法(2015年12月施行)
- ドローンの飛行の禁止に関する法律(2016年4月施行)
飛行させる場所に関連する法令
ドローンを操縦する際の電波に関する法令
その他、所有権やプライバシーの侵害などに関する法令
航空法の概要
1. 飛行させるエリアに関する規制
出典:国土交通省HP
2. 飛行させる方法に関する規制
出典:国土交通省HP
上記のいずれかに該当する場合、許可・承認の申請が必要になります。
許可・承認の審査基準
機体の安全性 パイロットの飛行スキル 安全な体制の確保
空港周辺
空港等の周辺では、飛行が可能な高度が詳細に設定されています。
事前に空港事務所に対して飛行可能な高度を確認します。
飛行前の事前調査方法
空港周辺に該当するか調査
「sorapass」や「国土地理院地図」で飛行予定場所を確認
高さに関する規制の調査
大型の空港:「高さ制限回答システム」を使用
その他空港:空港事務所に直接問い合わせ
求められる安全基準
機体の安全性に関する事項
- 灯火を装備すること又は飛行時に機体を認識しやすい塗色を行う
安全な管理体制に関する事項
- 空港等の運用時間外における飛行又は空港等に離着陸する航空機がない時間帯等での飛行である
- 空港設置管理者等との調整を図り、了解を得る
- 無人航空機を飛行させる際には、空港設置管理者等と常に連絡がとれる体制を確保する
- 注意喚起を行う補助者の配置等を行う
高度150m以上の上空
高度150m以上の上空では、航空機との衝突を回避するための体制確保が重要になります。
飛行前の事前調査方法
飛行場所、日時、最高高度をヒアリングしたうえで、管轄の空港事務所に飛行の可否を確認
求められる安全基準
機体の安全性に関する事項
- 灯火を装備すること又は飛行時に機体を認識しやすい塗色を行う
安全な管理体制に関する事項
- 空域を管轄する関係機関から当該飛行について了解を得る
- 無人航空機を飛行させる際には、空港設置管理者等と常に連絡がとれる体制を確保する
- 注意喚起を行う補助者の配置等を行う
人家密集地域(DID地区)
平成22年の国勢調査の結果による人口集中地区の上空が対象となります。
※私有地や周囲に第三者がいない河川敷等で飛行させる場合も許可が必要です。
※屋内で飛行させる場合は許可不要です。
「sorapass」等で確認を行います。
求められる安全基準
機体の安全性に関する事項
- 物件に接触した際の危害を軽減する構造を有する
例)プロペラガード
基準 |
適合性 |
物件に接触した際の危害を軽減する構造を有すること。 |
PHANTOM 3 PROFESSIONAL
プロペラガードを装備している。
|
パイロットの飛行技術に関する事項
- 意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができる
安全な管理体制に関する事項
- 飛行させようとする経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定する
- 注意喚起を行う補助者の配置等を行う
夜間飛行
日の出の時刻前、日の入りの時刻後の飛行が該当します。
飛行の難易度が上がるため、許可の取得が難しくなります。
飛行前の事前調査方法
夜間飛行を希望する場合、過去に夜間飛行の実績が必要です。
求められる安全基準
機体の安全性に関する事項
- 無人航空機の姿勢及び方向が正確に視認できるよう灯火を有している
基準 |
適合性 |
無人航空機の姿勢及び方向が正確に視認できるよう灯火を有していること。ただし、無人航空機の飛行範囲が照明等で十分照らされている場合はこの限りでない。 |
PHANTOM 4
灯火を装備している。
|
パイロットの飛行技術に関する事項
- 夜間、意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができる
安全な管理体制に関する事項
- 飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行う
- 離着陸を予定している場所が照明の設置等により明確になっている
目視外飛行
遠方や建物の裏側にドローンを飛ばすなどして、
パイロットが自分の目でドローンを見ることができない状態を指します。
※双眼鏡による監視や補助者による監視は「目視」に含まれません。
飛行前の事前調査方法
目視外飛行を希望する場合、過去に目視外飛行の実績が必要です。
求められる安全基準
機体の安全性に関する事項
- 機体に設置されたカメラ等により機体の外の様子を監視できる
自動操縦システムを装備し、機体 に設置されたカメラ等により機体 の外の様子を監視できること。 |
PHANTOM 3 PROFESSIONAL
機体は標準装備のカメラを設置し、 機体の外を監視することができる。
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- 地上において、無人航空機の位置及び異常の有無を把握できる(不具合発生時に不時着した場合を含む。)
パイロットの飛行技術に関する事項
- モニターを見ながら、遠隔操作により、意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができること及び飛行経路周辺において無人航空機を安全に着陸させることができる
安全な管理体制に関する事項
- 飛行させようとする経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定する
- 飛行経路全体を見渡せる位置に、無人航空機の飛行状況及び周囲の気象状況の変化等を常に監視できる補助者を配置し、補助者は、無人航空機を飛行させる者が安全に飛行させることができるよう必要な助言を行う
第三者又は物件から30m以上の距離が
確保できない場所での飛行
飛行場所の近くに他者の管理する建物等がある場合にはこちらの承認申請手続きを行います。
飛行前の事前調査方法
「物件」に該当するもの
- 車両等:自動車、鉄道車両、船舶、航空機 等
- 工作物:ビル、住居、工場、倉庫、鉄塔、電柱、電線、信号機、街灯 等
「物件」に該当しないもの
- 土地(田畑用地及び道路の路面等の舗装された土地、堤防、鉄道の路線等であって土地と一体となっているものを含む。)
- 自然物(樹木、雑草 等) 等
求められる安全基準
機体の安全性に関する事項
- 物件に接触した際の危害を軽減する構造を有する
例)プロペラガード
パイロットの飛行技術に関する事項
- 人航空機を飛行させる者について、意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができる
安全な管理体制に関する事項
- 飛行させようとする経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定する注意喚起を行う補助者の配置等を行う
お祭り等、イベント上空での飛行
イベントには、プロスポーツの試合・運動会・屋外で開催されるコンサート・町内会の盆踊り大会等が該当します。
安全な飛行体制の確保が最も難しく、許可の取得も難易度が高くなっています。
飛行前の事前調査方法
飛行を行う場所が「イベント会場」に該当するか否かは、集まる人数だけでなく、「どこの場所で行うか」「集まるのはどんな人たちか」によっても判断が異なります。
事前に国土交通省に確認を行います。
求められる安全基準
機体の安全性に関する事項
- 物件に接触した際の危害を軽減する構造を有する
例)プロペラガード
パイロットの飛行技術に関する事項
- 無人航空機を飛行させる者について、意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができる
安全な管理体制に関する事項
- 飛行させようとする経路及びその周辺を事前に確認し、適切な飛行経路を特定する
- 注意喚起を行う補助者の配置等を行う
危険物の輸送/物件投下
主に農薬散布が該当します。
国土交通省の資料以外にも、農林水産省が出している通達等が参考になります。
飛行前の事前調査方法
機体の性能が重要になります。機体の取扱説明書一式をお預かりして申請書に添付します。
求められる安全基準
機体の安全性に関する事項
- 機体について、危険物の輸送に適した装備が備えられている
- 機体について、不用意に物件を投下する機構でない
基準 |
適合性 |
危険物の輸送に適した装備が備えられていること。 |
液剤散布用のタンク材質は 農薬適合樹脂材料を使用している。 |
パイロットの飛行技術に関する事項
- 無人航空機を飛行させる者について、意図した飛行経路を維持しながら無人航空機を飛行させることができる
- 5回以上の物件投下の実績を有し、物件投下の前後で安定した機体の姿勢制御 ができる
安全な管理体制に関する事項
- 真に必要と認められる飛行である
- 注意喚起を行う補助者の配置等を行う
ご依頼から飛行開始までの流れ
1.事前打合せ
使用する機種、飛行の目的、飛行予定日等を確認
2.申請書類・飛行マニュアルの作成・書類の提出
申請場所
空港等の周辺・高度 150m 以上で飛行させる場合の許可申請
⇒管轄の空港事務所
それ以外の許可・承認申請
⇒国土交通省航空局安全部運航安全課
申請方法
- 申請書の案を国土交通省にメールで提出
- 担当官より審査完了の連絡
- 申請書一式を持参又は郵送で提出
3.許可証の交付・許可書を携帯して飛行開始
※以下のケースでは、許可取得の難易度が高くなります。
- 危険な場所での飛行(大規模なイベント会場・空港の周辺 等)
- 飛行スキル不足(初めてのフライト)
- 機体の安全基準を満たさない(プロペラガードが装着できない 等)